記憶に残る集客性のある展示ブースをつくるためには
こんにちは、ImaedaDesignの今枝です。
展示会に足を運ぶと、無数のブースが並び、それぞれのブランドが限られた空間の中で
存在感を競い合っている光景に出会います。
中には、どこかで見たような無難なレイアウトに終始するブースもあれば、一瞬で視線を奪い
強烈な印象を残すブースも存在します。
その違いは、デザインや演出といった“見た目”だけではなく、「空間を通じて
何を伝えたいのか」という設計思想の有無にあると感じています。
展示ブースは単なる製品紹介や営業スペースと考えずに、ブランドの“世界観”を
来場者に伝えることができるスポットだと思うことが大切です。
展示ブースとは何か?
展示ブースは、単に商品やサービスを並べる場所ではありません。
それは、限られた数秒の中で来場者の目と心をつかむ立体的な自己紹介の場です。
混在する企業群のなかから、誰が足を止めてくれるか。
その選択は、言葉ではなく「空間の印象」で決まります。
サイン・ロゴ | ➡ ブランド名やメッセージを明示する視認性の高い表示 |
バックパネル | ➡ 世界観や価値観を表現する背景装飾の中心 |
展示什器 | ➡ 商品やサンプルの見せ方を工夫するための設置物 |
動線・ゾーニング | ➡ 来場者の流れや立ち止まりポイントを意識した空間配置 |
光・音・香り | ➡ 空間体験の質を高め、印象に残すための五感演出 |
こうした基本構成を理解した上で初めて、「自分たちのブランドは何を、どう伝えるべきか」
を空間に落とし込むことができます。
照明、素材、色彩、造作、さらには音や香りまで。五感に訴えるすべての要素が、ブランドの
世界観や価値観を語るメディアとなります。
展示ブースがもたらす3つの効果
展示ブースの設計は、単なる装飾ではなく、ブランド価値を高めるための
戦略的な「投資」です。
優れたブースは、目に見えない部分も含めて来場者に複数の効果をもたらします。
ここでは、特に重要な3つを挙げてみます。
1.ブランドの世界観を“体験”として伝えられる
Webやカタログでは伝わりきらない「雰囲気」や「温度感」を、リアルな空間として五感で
届けられるのが展示ブースの最大の魅力です。
素材の質感、光の当て方、匂い、音、文字では表現しづらい情報を感覚的に記憶に残す・・
2.対話と関係構築のきっかけになる
視覚的に印象的なブースは、来場者の足を止める力を持っています。
ただ見るだけでなく、話してみたくなる聞いてみたくなる設計は、自然とスタッフとの
接点を生み、名刺交換やプレゼンテーションの機会へとつながります。
3.SNSなどを通じた拡張効果が期待できる
写真を撮りたくなるブースは、来場者自身が発信者となり自然と
SNSに投稿されていきます。
「その場にいなかった人」にもブランドを届けるきっかけとなり、展示会後も
認知の波紋が広がることが期待できます。
記憶に残る展示ブースのデザイン要素とは?
多くの展示ブースが並ぶ中、「なんとなく見たことある」ではなく「ずっと印象に残っている」
と感じてもらえる空間には、共通する設計の意志があります。
それを実現するためには、まずはブースの基本構成要素を理解することが第一歩です。
展示ブースの基礎構成
要素 | 役割/目的 | 設計時のポイント |
看板・サイン |
ブランド名やメッセージを 明示する |
高さと照明位置を意識し、 遠くからでも視認性を確保 |
バックパネル |
世界観やコンセプトを伝える背 主役の舞台装置 |
グラフィックや素材の質感に 統一感をもたせる |
展示台・什器 | 商品や資料の展示・操作の導線 |
高さや配置に変化をつけ、 手に取りたくなる設計へ |
動線設計 |
来場者の流れや滞留ポイントを 計画的にコントロール |
「立ち止まる位置」と 「会話のきっかけ」を意識 |
空間演出(光・音・香り) | 五感に訴える印象づけ | ブランドとの感情的な接続を促す |
コンテンツ | しっかり情報を発信 |
来客者にとって魅力のある情報 を伝える(映像・パネル等) |
このような基礎の上に、どんな演出を重ねるかがブースの個性になります。
失敗しないための注意点
展示ブースにおける失敗の多くは、見た目の良し悪しではなく
「誰に、何を、どう伝えるか」が曖昧なまま設計が進んでしまうことから生まれます。
以下のような、よくあるミスを3つご紹介!
見栄え以上に「ブランドの印象」に致命的な影響を与えかねません。
① 伝えたい情報が多すぎて焦点がぼやける
原因:欲張りすぎてメッセージが整理されていない
改善 ➡ 伝えたいことを「ひとつ」に絞る。余白はメッセージ
② 空間がきれいだけで終わってしまう
原因:装飾に偏って体験の仕掛けが弱い
改善 ➡ 五感の中でひとつだけ強調して残す印象をつくる
③ 動線が直感的でなく、歩きづらい
原因:空間全体を来場者目線でシミュレーションしていない
改善 ➡ 「どこに立ち止まり、何を話すか」から逆算する設計アプローチ
このように、「意図のない装飾」より「意味のある引き算」ができるかどうかが
記憶に残るブースづくりの分かれ道になります。
展示ブースをデザイナーに任せる理由とそのメリット
展示ブースの設計は、単にモノを並べる作業ではありません。
限られたスペースの中で、「ブランドの価値をどう体験させるか」をデザインすること。
それは空間と人の動き、印象と記憶を戦略的に設計する専門領域です。
デザイナーを入れることで得られる4つの価値
視点 | デザイナーが提供できるメリット |
空間+行動設計 | 来場者の目線や動き方を踏まえた導線・滞在設計ができる |
ブランド解像度の翻訳 | コンセプトやメッセージを「空間体験」に変換し、伝わる設計ができる |
素材・施工の最適化 | 予算や条件に合わせて、質感・施工性のバランスを取った提案が可能 |
第三者視点による客観性 | 思い込みは捨てて、来場者にとって本当に伝わるかを冷静に判断できる |
限られた時間と空間の中で“何をどう伝えるか”を設計するには、単なる
「きれいな空間づくり」ではなく、「ブランドに寄り添って考えるデザインパートナー」
の視点が必要なのです。
まとめ
展示会という限られた非日常空間のなかで、ブースは単なるディスプレイではなく、
「ブランドが何を大切にしているか」を空間で語るメディアです。
来場者は、情報ではなく“印象”を持ち帰ります。照明、素材、間のとり方、そしてスタッフの立ち方まで
無意識にブランドの姿勢を語っているのです。
だからこそ、デザインは誰に、どんな感情を届けたいかというのが大切です。
装飾の華やかさや空間の広さに惑わされる必要はありません。
大切なのは、「この空間で、どんな体験をしてもらいたいか」という一点をぶらさずに組み立てること。
私たちは、ブランドの“想いを空間として表現する”お手伝いをします。
ぜひ、お任せください。