クリニック開業手順を徹底解説!時系列のスケジュールも
こんにちは、メディカルスタイリストの今枝です。
今回は、クリニック開業手順についてお話ししたいと思います。
クリニック開業は、医師の夢の一つかもしれませんが、実際には多くの準備や課題があります。
そこで、私が実際に開業に携わり経験したクリニック開業の流れやポイントをご紹介します。
クリニック開業のメリットと注意点
クリニック開業のメリットとしては、自分で経営することで自由度が高く、自分の考え方や理念を反映させた診療ができることが挙げられます。
また、収入面でも病院勤務医に比べて高収入を得られることが期待できます。
一方、注意点としては、開業には多額の資金が必要であることや、医療機器や備品の購入、人材採用、行政手続きなど多岐にわたる業務が必要であることが挙げられます。
また、開業後も集患対策や経営管理など多忙な日々が続くため、十分な準備を行うことが重要です。
手順1:開業準備期間(約8か月前~約4か月前)
開業計画書の作成
クリニック開業計画書の作成方法については、以下のようなステップがあります。
- 目的を明確にする
- 立地条件を考慮する
- 診療科目を決める
- 人員配置を決める
- 資金計画を立てる
- 営業戦略を考える
また、事業計画書の作成にあたっては、医療法や保険法などの法律に基づく規制や、行政手続きなども必要となります。そのため、専門家のアドバイスを受けることも重要です。
資金調達
クリニック開業の資金調達方法には、以下のようなものがあります。
- 自己資金
- 銀行からの借入
- 地方自治体の融資制度
- 福祉医療機構
- リース会社
自己資金は、勤務時代の預金や退職金等が基本的な財源となります。
銀行からの借入は、クリニック開業に必要な資金を借りる方法です。
地方自治体の融資制度は、地方自治体が設けた融資制度を利用する方法です。
福祉医療機構は、医療機関向けに融資を行っている公的機関です。
リース会社は、医療機器や備品をリースすることで、開業時の資金調達に利用できます。
以上が一般的なクリニック開業における資金調達方法です。
物件選定
クリニック開業における物件選定には、以下のようなポイントがあります。
- 開業立地
- 物件の設備要件
- 物件の形態
開業立地は、集患に大きな影響を与えるため、周辺の競合環境やアクセス環境を考慮する必要があります。
物件の設備要件は、医療機器や備品を設置するためのスペースや電気容量などが必要となります。
物件の形態は、戸建て、テナントビルへ入居する「ビル診」、複数の医療機関が集まって開業する「医療モール」など、様々な形態があります。
以上が一般的なクリニック開業における物件選定のポイントです。
業者選び
クリニック開業にあたり、業者選びについては、以下のようなポイントがあります。
- 開業コンサルタント
- 資金調達支援業者
- 物件仲介業者
開業コンサルタントは、開業に必要な手続きや設備の導入などをサポートしてくれます。
資金調達支援業者は、開業資金の調達をサポートしてくれます。
物件仲介業者は、開業に適した物件を紹介してくれます。
以上が一般的なクリニック開業における業者選びのポイントです。
手順2:開業準備期間(約3か月前~約1か月前)
内装工事
クリニック開業にあたり、内装工事については以下のようなポイントがあります。
内装工事費用は、坪単価が40万円~70万円程度で、総額で考えますと、1600万円~2800万円程度と言われています。
内装工事の流れは、以下のようになります。
- 内装設計の打ち合わせ
- 内装工事の見積もり依頼
- 工事契約
- 工事着工
- 工事完了
以上が一般的なクリニック開業における内装工事の流れとなります。
医療機器、備品の購入
クリニック開業にあたり、医療機器・備品の購入については以下のようなポイントがあります。
医療機器については、診療科目によって必要な機器が異なります。
例えば、心療内科など高額な医療機器が必要ない診療科目から、整形外科など診療所であってもCTやMRIを導入する診療科目まで様々です。
備品については、比較的持ち運びやすい診察券や問診票などの備品は使い切ってしまわないように、ある程度多めに発注して在庫がある状態にしておくことをおすすめします。
以上が一般的なクリニック開業における医療機器・備品の購入についてのポイントです。
人材採用
クリニック開業にあたり、人材採用については以下のようなポイントがあります。
採用は、概ねクリニック開業の3カ月前ぐらいまでに行うことが多いです。
スタッフの採用費用の見積もりや手法の選定などは、開業の3~4ヶ月程前から始めるのが一般的です。
求人媒体については、都道府県看護協会による無料職業紹介事業として開設されているサイトや、求人情報を掲載する求人サイトなどがあります。
以上が一般的なクリニック開業における人材採用についてのポイントです。
行政手続き
クリニック開業にあたり、行政手続きについては以下のようなポイントがあります。
開業届出書の提出:医師免許や診療科目、所在地、診療時間などを記載した届出書を提出します。
診療報酬請求書の申請:国民健康保険や後期高齢者医療制度などの保険に加入する場合は、診療報酬請求書を申請します。
消防署への届出:建物の構造や消防設備などについて、消防署に届け出ます。
健康保険組合への加入:国民健康保険や後期高齢者医療制度などの保険に加入する場合は、健康保険組合への加入が必要です。
以上が一般的なクリニック開業における行政手続きについてのポイントです。
開業準備期間(約1か月前~開業日)
広報活動
クリニックを開業する際の広報活動は、患者の集患やクリニックのブランドイメージを高めるために重要です。
以下に、クリニック広報活動のポイントをご紹介します。
- 名刺とパンフレットの作成
- 内覧会の開催
- 広告規制に注意
クリニックの広報活動を通じて、地域の住民や医療関係者にクリニックの存在を知ってもらい、信頼を築ることが成功への道しるべです。
スタッフ教育
クリニックを開業する際のスタッフ教育は、クリニックの今後を左右する重要なポイントです。
スタッフ研修を通じて、スムーズな運営と信頼の構築を目指しましょう。
以下は、スタッフ教育において押さえるべきポイントです。
- マニュアルを定着させ、スタッフの連携をスムーズにする
- 接遇・サービスの質を統一させる
- 院長とスタッフの意思統一を図る
スタッフ研修を通じて、開業初日からスムーズなスタートダッシュを切り、クリニックの成功につなげましょう。
診療体制の確認
クリニックを開業する際の診療体制について、以下のポイントを把握しておくことが重要です。
- 医師の数と診療体制
- クリニックの開業後、患者数が増えてくると、医師を雇用し2診体制を視野に入れることがあります。
- 患者数や診療内容に応じて、医師の数を適切に調整しましょう。
- 施設基準と設備
- クリニックの開業には施設基準があります。厚生労働大臣が定めている基準を満たすことが求められます。
- 診療室や処置室、待合室などの設備を整え、患者の安全と快適な診療環境を確保しましょう。
- 医療機器と技術
- 診療に必要な医療機器を選定し、適切に導入しましょう。
- 最新の技術や情報を追い、患者に高品質な医療を提供できるよう努力しましょう。
- スタッフの配置と調整
- 医師だけでなく、看護師や受付スタッフなどの配置も考慮しましょう。
- スタッフの負担を軽減するため、適切な人員配置を行いましょう。
クリニックの開業は慎重な計画と準備が必要です。患者のニーズを理解し、適切な診療体制を整えて成功を目指しましょう。
開業後
集患対策
クリニック開業後の集患対策には、オンラインとオフラインの両面からアプローチすることが重要です。
以下に具体的なポイントをまとめます。
- オンラインでできる集患対策
- ホームページを作成する:ホームページはクリニックの正確な情報を発信する場所であり、患者にとって重要です。
- SEO対策:キーワードで検索された際に、自院のホームページが上位に表示されるようにする施策を講じましょう。
- MEO対策:Googleマップでの露出強化を図り、地域の患者にクリニックを知ってもらいやすくしましょう。
- リスティング広告を打つ:特定のキーワードで検索された際に広告を表示させ、アクセスを増やします。
- SNSを活用する:最新情報を発信し、患者にクリニックの存在を知ってもらいやすくしましょう。
- オフラインでできる集患対策
- 看板に注目させる:通りから見えやすい位置に看板を設置し、視覚に訴えることが有効です。
- 屋外広告を打つ:駅前などの人通りの多い場所に広告を出すことで、クリニックの存在を知ってもらいやすくなります。
- チラシを配る:近隣住民へのチラシ配布は効果的です。
- イベントを開催する:患者に直接情報を届けるためにイベントを活用しましょう。
クリニックの集患対策は継続的な努力が必要ですが、適切な施策を組み合わせて成功を目指しましょう。
経営管理
クリニックの経営管理は、開業後に継続的に行う必要がある重要な活動です。
以下に、クリニック経営を成功させるためのポイントをまとめてみました。
クリニックの経営とは?
クリニックの経営は、クリニックとしての利益を上げるための運営・管理業務を指します。
開院後には、スタッフの管理、医薬品の管理、設備管理、経理業務、集患対策などを継続的に行う必要があります。
業務内容
- 経営戦略プランニング
- スタッフの採用活動とマネジメント
- ホームページの作成・運営
- 行政対応
- 資金調達と資金繰り管理
- 会計・財務管理
- 物品購入
失敗しやすいポイント
- 集患がうまくいかない
- 患者のリピート率が低い
- 院長の業務が多すぎる
- スタッフの定着が難しい
経営理念の重要性
経営理念はクリニックの「使命」「目的」「方向性」を明確に表現したもので、スタッフの行動の指針となります。
患者の安心感や満足度を向上させるために適切な理念を構築しましょう。
成功事例
立地や施設空間の設計を重視して成功したクリニックの例があります。
施設の拡大や移転を検討する際には、地域のニーズや特性を考慮し、独自の方向性を示すことが重要です。
コンサルタントの相談
医院経営に不安を抱えている場合は、コンサルタントに相談することも一つの方法です。
専門外の業務は経営のプロに任せ、適切な選択をしましょう。
クリニック経営を成功させるためには、患者を第一に考え、独自の方向性を示し、効率的な組織づくりを行い、経営戦略を立てて実行することが大切です。
医療安全管理など
クリニック開業後の医療安全管理にはいくつか重要なポイントがあります。
以下にまとめてみましょう。
- 医療安全管理規程の策定:クリニック内での医療安全管理の基本方針を文書化し、医療安全管理委員会で定期的に見直すことが重要です。
- 医療安全管理室の設置:医療安全管理室を設けて、医療安全管理者や医療安全推進担当者が日常的な活動を行えるようにしましょう。
- 医療安全管理委員会の運営:医療安全管理委員会を設置し、医療安全に関する検討や対策の立案・実行・評価を行います。
- 医療従事者の研修:医療安全に関する職員研修を実施し、医療従事者が適切な知識とスキルを持つようにします。
- 医療事故対応の訓練:重大なアクシデントが発生した際の具体的な対応方法を訓練し、迅速かつ適切に対応できる体制を整えましょう。
これらのポイントを意識して、クリニックの医療安全管理を徹底しましょう。
まとめ
以上がクリニック開業に必要な準備や開業手順、時系列のスケジュールについてでした。
開業にかかる期間は物件の決定や内装工事などによって異なりますが、一般的には物件決定後5~6カ月ほどです。
開業するタイミングは個人の判断ですが、若いうちに開業するメリットと経験を積んでから開業するメリットを比較して考えましょう。
開業準備の最初に行うべきことは、経営理念や診療コンセプトを決めることです。
これによってその後の選択が変わります。
開業物件については、賃貸物件の種類や設計の留意点などを確認しましょう。
また、保健所や医師会などの開設手続きも必要です。
開業資金の調達には、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関に相談しましょう。
事業計画書や資金使途などを明確にしておくと良いでしょう。
開業をお考えの方はぜひともご参考にしていただけたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。